ここでは、いくつかの国の教育制度を比較してみたいと思います。学校選びの参考にしてみて下さい。
アメリカ・カナダの教育制度
アメリカ・カナダには、準学士が取れる二年制大学、学士を取得できる四年制大学(リベラルアーツカレッジと総合大学)、そして修士(2年間)や博士(3年間)を取得できる総合大学の大学院や高等教育専門機関があります。
二年制大学には二つのコース(職業訓練コース、一般教養コース)があり、それぞれ目的は異なるため、出願の際には気を付ける必要があります。
職業訓練コースは、専門技能を身に着けるためのコースであり、将来その分野で仕事をしたいと考えている人に適しているコースです。
一方で、一般教養コースは将来四年制大学へ編入を考えている人に適しているコースです。学ぶ内容は、四年制大学の最初の2年間で学ぶ一般教養と同等のものとなります。
一般的に二年制大学が四年制大学よりも授業料が安いと言われています。
四年制大学には、リベラルアーツカレッジと総合大学の二種類あります。前者は主に教養を身に着けるために一般教養を学びます。少人数制を取っているリベラルアーツカレッジが多い為、手厚いサポートを受けながら高い教養を身に着けることができます。専門性を身に着けたい場合は、その先に総合大学の大学院へ進学することができます。
総合大学の学士過程では、最初の2年間は一般教養を学び、後の2年間は専門分野を学びます。
大学院の修士課程は通常2年間になり、理論が重要と考えるヨーロッパの大学院に比べるとより実践的な内容になっています。
イギリスの教育制度
イギリスの高等教育機関の特徴は、100校以上ある大学の内わずか2校のみが私立で、その他すべては国立です。そして、それぞれの学位取得期間がアメリカや日本に比べると少しづつ短いのがイギリス特有な点です。
これは、プログラム内容に関連することですが、特に学士は1年目から専門科目に入るため、アメリカや日本で学ぶような一般教養の授業は、イギリスの大学では学びません。そのため、3年のみで学士を取得することができます。
また、修士に関しても選ぶコースによってはわずか1年間で修士を取得できます。短い期間で学位を取得しないといけない分、勉強も大変になりますが、留学生にとっては生活費の負担が少しでも少なくなるのはありがたいかもしれません。また、社会人で大学院留学を目指される方は、すぐに職場に復帰したいとお考えである場合、1年間で修士を取得できるというのは都合の良いことかもしれません。
イギリスの修士に関連する学位が少し複雑かもしれません。
イギリスの修士は、修士課程取得を目的とするコース(MA, MScなどのTaught Course)と、将来研究職を目指される方向けのコース(MPhil, MResなどのResearch Course)と二つに分かれます。初めから将来研究職を目指すことを決めている方は、Research Course(2年間)へ出願する方が、最短で博士課程へ入学し卒業ができます。Research Courseの場合、1年目が終わったタイミングで、研究内容が博士にふさわしいものと判断された場合は、博士課程の2年目へ編入することができるため、学士取得後最短3年間で修士+博士を取得することができます。(ただし、研究内容により期間が延びる場合もあります。)
一方で、Taught Courseの中でも、日本では馴染みがないかもしれませんが、ポストグラデュエート・ディプロマ(PgDip)という学位を取得できるコースもあります。これは、Taught Courseの修士(MA, MSc等)で最終学期に作成する修士論文の期間を含めないため、最短9か月でポストグラデュエート・ディプロマを取得することができます。論文を作成しなくても、修士相当の知識を身に着け、短期間で学位を取得したいとお考えの方向けの学位かもしれません。
最後に、学位を取得することはできませんが、イギリス特有なコースとしてファンデーションコースがあります。これは、民間の企業が運営している場合もありますし、大学独自が運営しているものもあります。このコースは、大学(学士)へ進学する前に、約1年間語学と大学で専攻希望の分野と近いことを勉強するコースです。これに参加することにより、イギリスの国家試験(A-level等)を受けずに大学へ進学することがきるので、日本の高校を卒業した後の進路として人気があります。
オセアニア
オーストラリアやニュージーランドの大学は、基本的にはイギリスの高等教育の仕組みと似ています。分野にもよりますが、学士取得期間はおよそ3年間、修士1.5年~2年(taught courseもしくはresearch courseかによる。)、博士約3年間となります。
また、オーストラリアにあるおよそ40以上の大学ほとんどは国立で、私立は2、3校程度しかありません。ニュージーランドは8校ある大学すべてが国立です。また、大学以外にもポリテクニックやTAFEという専門学校でも学位を取得できます。
European Union (EU)
EUの国々では、各国独自の教育制度があるものの、ERASMUS(ヨーロッパ学生の流動化の動き)などによる学生の流動化に備えて、近年では非英語圏にもかかわらず、英語のみで学位を取得できる大学が増えてきています。EU以外の外国人でも、英語で非英語圏の大学で学位を取りたい場合はそれが可能となってきています。EUにはドイツ、フランス、スペイン、オランダ、北欧、他様々な国で質の高い教育を提供しています。世界ランキングでも上位に入ってくる大学も多くあります。今回このホームページでご紹介するヨーロッパの大学はすべて英語で学位を取得できる大学に限っています。現地語で学びたい方は、各国の大使館へ直接お問い合わせください。